投資家と一口に言っても、個人や一般の事業法人、金融機関などの専門家と立場は様々です。
■政府系ファンド
政府が設立し、政府が資金の出し手となって運用されている基金。
近年は、オイルマネーのほか、為替介入や製品輸出収入が資金源のファンドも目立つ。
政府系ファンドは将来の世代のために資金を管理する目的のはずが、投機的な運用を行う国のファンドもあるようで......。
政府系ファンド(SWF:Sovereign Wealth Funds)は、その名の通り、政府の資金を運用する目的で政府が設立した基金です。中東やロシアなどの産油国が原油を輸出して得た外貨や、中国、シンガポール、韓国などが貿易黒字で生まれた外貨を運用しているケース、自国通貨売り・外貨買いの為替介入で外貨準備を膨らませている国もあります。
「オイルマネー=政府系ファンド」と言われるのは、中東の国々で政府系機関が石油を取り扱っているために、オイルマネーが政府の管理下にあることが背景です。
政府系ファンドは、国際分散投資を行い、そのほとんどが投機的ではないと伝えられています。最近では、新興国の政府系ファンドが先進国の会社を買収することも珍しくありません。
■オイルマネー
主に中東を中心とした原油産出国が、原油を世界各国に輸出して得た利益を蓄積した資金。自国に投資した余剰資金が海外投資に向かう。
シェールガスやシェールオイルの開発が進めば、中東など従来の産油国は不利。今後のオイルマネーの動向にも影響します。
産油国が原油を輸出して得られた利益は、インフラ整備などに使われます。原油価格が高騰すると産油国の利益は増え、余った分が運用に回されます。この運用資金をオイルマネーと呼んでいます。
中東の国々では、政府系機関が石油を取り扱っているため、政府がオイルマネーを管理しているのが通常です。使い道も政府系機関が決定しています。このため、「オイルマネー=政府系ファンド」としても認識されています。しかし、実際には、その資金を運用しているのは、欧米の運用担当者であることも多いようです。
潤沢なオイルマネーを持っている代表的な国として、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、クウェートなどが挙げられ、先進国の会社の株式を取得するなど、金融市場で存在感を増しています。この場合、経営権の取得目的というよりも、将来の原油の枯渇に備えて先進国の経済のノウハウを得ることも期待しているようです。
■ヘッジファンド
本来は、さまざまな投資手法を使い、運用資産のリスクヘッジを行う投資方針のファンドを指す。自由な設計で運用するため特徴はいろいろ。
ヘッジファンドが目指す運用はリスクのヘッジ(回避)。名目上、どんな環境でも収益を上げる設計になっていますが、現実は?
ヘッジファンドは、本来、相場環境に左右されずにリスクヘッジを行い、運用資産の絶対収益を得ることを目標にするファンドのことです。契約形態は、特定の投資家を対象にした私募で、投資家のニーズに応じたオーダーメイドの運用をしています。私募ファンドは、広く一般の投資家を対象にしていないので情報の開示義務はなく、投資家保護の規制も緩いために、幅広い運用手段が可能です。ファンドの設立場所は、オフショアのタックスヘイブン(租税回避地)がほとんどです。
ヘッジファンドは、運用の手段に空売りや先物取引などデリバティブを用いることができます。証拠金の数倍の取引を行い、純資産を上回る損失額や利益額が出ることもあるので、一般にヘッジファンドはハイリスク・ハイリターンになる傾向があります。
■デイトレーダー
一般に、短期売買をする投資家を指すことが多い。
1日に何度も売買を繰り返すことからデイトレーダーと呼ばれる。
株式の売買で生計を立てる生活を夢見る人は多いようですが、1日中端末に向かって相場に張り付くのは、楽ではないでしょうね。
買った株式をその日のうちに売る、というような短期の売買を目的にした投資家を、デイトレーダーと呼んでいます。信用取引を使い、売り建てた銘柄をその日のうちに買い戻す場合もあります。株価が大きく動いている時は、1日といわず、数時間後または数十分後に反対売買を行うケースも見られます。
1日の間に何度も売買を繰り返すスタイルの短期売買は「デイトレード」と言います。小さな値幅でもある程度の利益を得るために、1回の売買でまとまった株数を注文することが多いようです。
インターネットを通じて株式売買ができるネット取引の普及とネットのインフラ向上が、デイトレーダーを生んだ背景です。株式等の売買益を収入源に生活をしているデイトレーダーもいます。
デイトレードには、会社の理念や魅力に投資をするというよりも、株価の変動による「さや取り」を主にしているという傾向が見られます。
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