第3章-4 その他の市場用語には、どんなものがあるか?

株式・証券取引を始めると、実務的な用語に出会います。取引をさらに理解するための専門用語を紹介します。


監理ポスト/整理ポスト

上場廃止基準に該当する事実確認の間に売買される場が監理ポスト。廃止基準に該当した銘柄の売買の場が整理ポスト。


上場廃止を突然宣告されると、投資家は困ります。上場廃止の判断期間、廃止決定銘柄の処分期間に売買できる機会を与えます。


上場している株式や債券などの有価証券が上場基準に適合しない疑いがある場合、その事実確認を行います。確認期間中、既存株主や投資家に上場廃止になる恐れを注意させながら売買する場が監理ポストです。監理ポストに置かれても、売買は行われます。審査の後、上場廃止基準に該当しないとはっきりすれば、通常の取引に戻ります。

上場廃止基準に該当すると整理ポストに移行します。整理ポストは、上場廃止が決まった銘柄が整理のために売買できる場です。原則として、1ヵ月間の取引猶予期間の後に上場廃止になります。上場廃止日が近づくにつれて株価は極度に低くなるのが通常です。

上場廃止になると流通市場を失い、換金は、発行会社に株式を買い取ってもらうのが一般的で、株価は未公開企業としての評価です。



■地合い

市場の中に流れるムード。相場の状況を意味し、「地合いが良い・強い」「地合いが悪い・弱い」などのように使われる。


相場の解説で、特に理由が見つからずに値下がりした場合に、地合いの悪さのせいにされてしまうことがよくあります。


地合いとは、相場の雰囲気です。漠然としていますが、まったく何も感じさせられない状況よりは、むしろ相場が良いか悪いかどちらかの方向に向いている時に使われることが多いようです。

「地合いが良い」「地合いが強い」は相場環境が良く、ちょっとしたことでも株価が上がりやすいムードの様子を指しています。出来高や売買代金も比較的多く、市場が明るいときです。

「地合いが悪い」「地合いが弱い」はその反対です。大きな悪材料ではない些細なことでも株価が下がる状況です。もしくは良いニュースにもほとんど株価が反応せず、売買代金も増えずに投資家が期待したほどの株価上昇が見られないといった様子を指しています。



■循環物品

株式市場の中で、値上がりする銘柄や業種が次々と移り変わっていき、幅広い銘柄・業種に活気が広がること。


「相場が動いてきたから、株を買いたいな。でももう上がっちゃったしな。まだ上がっていない株はないかな」と物色。あるある?


投資家が株式を買うことを「物色する」といいます。株式市場内で注目される銘柄や業種が次々に移り変わって買われていく様子が循環物色(または循環株投資)です。幅広い銘柄・業種に順々に買いの手が広がると市場は活気づき、相場は盛り上がりますが、一通り買われると「一巡した」といわれる調整が入ることもあります。

例えば、まずは設備投資が活発だと報じられて機械株が買われて上昇し、次に素材関連株に買いの手が回り、次に自動車株や電機株が買われ、次にはそれまで調整をしていた不動産株が買われる......、といったように市場で注目される投資対象が移り変わっていくことです。ま さに物色対象が循環する様子です。



■換金売り

株式などを売って、現金を確保すること。投資家の不安心理が強まった時や、連休前、不透明な株価材料の直前などに多い。明確な定義はない。


いや~な胸騒ぎ。「特に売るような理由はないけれど、一旦ここで売って、お金に換えておこう」という投資家の動きが換金売り。


一般的に手持ちの株式などを売却して現金に換えることが換金売りです。強い売却理由があるわけでなく、将来の株価変動リスクに備えて現金を確保しておくというニュアンスが含まれています。

換金売りが出やすい場面は、相場全体に不安心理が強まり、投資家が資産の目減りを防ごうとする時などです。お正月やゴールデンウィーク、祝日などの休み中には、大きな悪い出来事が起こっても売り逃げられないので、念のため、休み前に換金売りをするケースも見られ ます。判断の難しい材料の発表を目前に控えている時、そのニュースが悪かった場合の株価下落を防ごうと、事前に換金する動きが出ることもあります。また、大規模な公募・売出しの直前に、その買付代金を用意するために保有株式を換金売りすることもあります。



■ボックス相場

株価の上下が決まってしまい、高値近辺にくると値下がりし安値近辺で値上がりするという動きを続ける市場の様子。


株価の動きがボックス圏内を行ったり来たり。値動きが安定していると見るか、じれったいと思うかは投資家しだい。


ボックスは、箱(box)です。株価チャートを描くとすっぽり箱の形に収まってしまう値動きがボックス相場です。ある期間において、株価が何度も「上がってもこの水準まで下げてもこの水準まで」という一定の価格帯に収まってしまう相場の状況です。この一定の価格の幅を「レンジ」と呼ぶことから「レンジ相場」ともいいます。

ボックス相場になる背景は、良きにつけ悪しきにつけ株価を一方向に動かす材料が乏しい状況が一般的です。高値と安値の間を行ったり来たりしながら売買を重ね、ある時何かのきっかけでボックスを抜けてレンジから外れていきます。この瞬間は、株価が上昇すれば「上離れ」、下落すれば「下離れ」といいます。

みんなの株・証券用語辞典

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