第1章-3.リスクは、どのように抑えることができるか?

株式取引・証券取引のリスクを良く知り、できる限り低く抑える方法を知っておきましょう。


■リスク

ある程度の可能性で起こりそうなことだが、どれだけの確率で起こるかが不確実なこと。

不確定要素。


投資家自身の心が揺れて投資判断がブレる.....それも1つのリス クかもしれませんね。


一般にリスクといった場合は、危険とか損失を被ることと思われがちですが、金融の世界でのリスクは「起こりそうだがどの程度の確率で 起こるかがわからない」ことを指します。

利益が当初予測していたよりも少ない、利益が出る見込みでいたはずが損失が出た、などがリスクですが、予測以上の利益を出すこともリスクです。当初の予測とのズレをリスクと呼びます。



■ヘッジ

「回避する」と訳される。リスクヘッジのこと。

リスクヘッジとは、想定されるリスクを避けたり減らしたりすることや、その方法。


リスクをまったくゼロにすることはできず、せいぜいリスクを減らすのみ。

投資家のタイプに合ったリスクヘッジを見つけましょう。


金融商品などにおけるヘッジとは、通常、リスクヘッジのことを指しています。投資や運用の世界では、想定される利益率から大きくかけ離れた結果を生むことがリスクです。

収益が変動する金融商品においては、反対のポジションを取る、価格変動に関連のない金融商品を組み合わせる、投資時期をずらす、損失を食い止めるためのロスカットルールを設けるなどの方法でリスクを抑えます。反対のポジションを取る方法として信用取引や先物取引、 オプション取引、スワップ取引などのデリバティブがあります。機会を逃す損失には、先物取引などが有効です。

しかし、デリバティブは使い方によって内在するリスクが大きくも 小さくもなるため、元来リスクの軽減が目的だったヘッジ手段でもレバレッジを拡大させればリスクが過大になってしまいます。



■デフォルト

公社債の利払いが遅れたり、元本の返済ができなくなること。

多くの場合、財政状態の悪化で起こる。


コンピュータの初期設定をデフォルトと呼ぶのと同じで「何もしないこと」。

返済の約束を履行しないのがデフォルトです。


デフォルト(債務不履行) は、一般に社債の発行体である会社の倒産や、国債の発行体である国の財政破綻などの状態で起こります。以前の日本では会社がデフォルトしそうになると受託銀行が社債を買い取るなどの対応で、投資家が実際に損失を被らずにすみました。

しかし、社債発行の制度改正と、日本の金融機関の財務に余裕がなくなったことで、投資家が損失を受けるケースが発生してきました。 2001年秋に経営破綻したマイカルの社債や2001年末のアルゼンチン国債が返済不能になり、多くの投資家が損失を被っています。

なお、「デフォルトリスク」は「信用リスク」「クレジットリスク」とも 呼ばれます。貸し倒れの恐れのことで、債券の元本の償還や利子の支払いが約束どおりにできないかもしれないリスクです。この可能性を第三者が財務面などから判断するのが格付です。



■ハイリスク・ハイリターン

高い利益が期待できるものは、期待外れになる確率も大きいということ。

大きな儲けの可能性もあるが、失敗の可能性も高い。


付き合ってもらえる可能性は低いけど、美人のあの子にアタック してうまくいったら人生はバラ色......みたいな感じです。


投資の結果は、金融商品の持つそれぞれの特徴によって予想収益率がまちまちです。収益率は、社会状況や経済環境などによって変動し、 予想とのブレが生じます。一般に予想する収益率が高いほど、そのブレ幅は大きくなります。収益率はリターンであり、ブレ幅はリスクです。つまり、高い利益を求めると、同時にその結果の変動も大きくなり、 ハイリスク・ハイリターンとなるのです。その反対はローリスク・ロー リターンです。このことを、リスクとリターンは両方の条件を同時に満たすことができない「トレードオフの関係にある」といい、リスクとリ ターンは背中合わせの関係となっています。



■自己責任

証券投資において「投資家が判断を誤って生じた損失額は自身で被る」という原則。

情報提供者等に責任転嫁はできない。


「儲かる銘柄、教えてよ」と情報収集と判断は人を頼りにしていながら、いざ損をしたら情報源を責めるなんてのは、よくないですね!


証券投資にはリスクが伴います。投資家が望んだ通りの運用結果に ならないこともあります。時には投資元本を割り込む場合もあるでしょう。もし、思わぬ投資結果になったとしても、証券取引上の事故な どでない限り、発生した損失は投資家自身が被るのが原則です。例えば金融機関や投資を勧めた人、投資情報を提供した人などに損失額を補ってもらうことはできません。

裏返せば、投資をする時点で、「投資家自身が負担できる範囲で投資 を行うこと」「投資家自身が判断できるレベルの投資を行うこと」「投資 期間中に投資先の状態をチェックするのは投資家自身で行うこと」などが言えます。そのためには、投資家が判断できる十分な環境として、 金融機関側が適切な情報提供や販売姿勢である必要があります。



■分散投資

資産運用の際に、タイプの違う金融商品に分けて預けたり投資したりすることや、タイミングをずらしたりすること。


「儲かりそう」と「儲かりそうにない」の組み合わせも立派な分散投資。

読みが外れて儲かりそうになかった銘柄で助かることも。


金融商品の特徴はさまざまです。安全性、流動性、収益性の性格や程度が違う金融商品に分散して投資すると、その組み合わせでリスク を抑えることができます。その結果、投資のトータルリターンに関してもブレが小さくなり、全体的に安定的な運用結果が得られます。

例えば、株式と債券のように異なる性質を持つ金融商品などの運用対象同士を組み合わせると、それぞれのリスクをお互いに打ち消し合い、個々の運用対象を単独で利用するよりリスクが軽減されます。

株式投資においても分散投資の考え方は活用できます。例えば、為替相場が円高ドル安になった場合に業績が良くなる会社と悪くなる会社があったり、金利が高くなった場合に業績が良くなる会社と悪くなる会社があったりするため、これらの組み合わせによる分散投資は、それぞれの特徴を相殺し合って、リスクを軽減できます。



■ドル・コスト平均法

株式や投資信託など価格が値動きする金融商品に、定期的に毎回同じ金額を継続投資する方法。


ドル・コスト平均法で積み立てをしても、見込みのない投資対象だっ た場合は要注意。

値が下がり続ければ、まったく意味がありません。


ドル・コスト平均法では、値動きのある金融商品を毎回同じ金額で購入するため、買付けできる数量が毎回異なります。数量に端数が出 ることがほとんどです。金額を固定させると、価格の高いときには少しの数量しか買えません。しかし、価格の安いときには多くの数量を買うことができます。その都度これを続けていくと、結果的に平均購入価 格が安い価格の方により近くなります。

ただし、元本の価格変動のある商品で行いますから、平均購入価格を安く抑えることができたとしても、その後の価格が低迷していたら意味がありません。単なる積立貯蓄の感覚で投資するのではなく、定期的なチェックも必要です。

みんなの株・証券用語辞典

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