第4章-1 株式には、どのような種類・分類があるか?

株式は、株式会社の規模や特徴、株価の水準、取引市場などによって分類することができます。


■大型株/中型株/ 小型株

上場会社の株式を会社の時価総額、流動性に応じて規模別に分類した3段階の区分。

株価の高い安いは関係ない。


皆さんは、何を基準に「大きい会社」「小さい会社」を判断しますか?

ここでは、流通する株式の規模の大小を指しています。


大型株、中型株、小型株は、発行済株式数や時価総額で規模の大小を区別した分類で、株価の高安ではありません。

東京証券取引所 (東証)の「規模別株価指数」では、東証一部銘柄に ついて大型株を時価総額と流動性が高い上位100銘柄、中型株を大型株に次いで時価総額と流動性が高い上位 400銘柄としています。ここまでに含まれない東証一部銘柄はすべて小型株です。

大型株は、売買が活発なことから値動きが比較的小幅です。反対に 流通する株式数が少ない小型株は、ちょっとしたニュースでも株価が 乱高下しやすいという特徴があります。



■優良株

収益性、成長性、安定性などが優れている会社の株式。

機関投資家や外国人投資家などからの評価も高い。


優良株は、株の中の優等生。

比較的安心して買える反面、成長の 余地に限りもあり、面白みに欠けるところもあるかもしれません。


優良株とは、一般的に企業業績が好調でさらに成長が期待でき、財務体質が健全な銘柄を指します。特に中長期的な運用資金の投資対象として機関投資家や外国人投資家に好まれています。国際的に活躍しているその国を代表する会社を指すことが多いため、「国際優良株」とも呼ばれます。一般的にNYダウとの連動性が高く、米国株の値動き の影響を受けやすい特徴を持ちます。

また、業績や事業内容などから成長力はあるものの、会社の規模が小さい銘柄は「成長株(グロース株)」といいます。時代に先行する業態や新技術の開発に努めている会社に多く、投資家からは「将来性を買 う」といった投資目的で注目されています。



■割安株

本来の価値から見て割安な株価の状態にある銘柄のこと。

業績や財務内容より、市場の評価が低くなっている銘柄。


ただ値段が安いだけの株は、ボロ株。割安株とは言いません。

実力があって何らかの理由で値下がりしているものが、割安株です。


割安株(バリュー株)とは、本来の価値から見て割安な状態の銘柄です。一般に会社の収益性や資産価値、株価の推移などと比較・分析して判断します。割高・割安を見る指標は、EPS(1株あたり利益) やBPS (1株あたり純資産)を基準としたPER (株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)などです。株価チャートでも割安な状態かを見られます。

割安株投資は、前述した指標やチャートなどから株価が割安な水準にある銘柄を探して投資し、「いずれ株価は理論上の適正な水準に戻る」と考えて長期的に保有する取引方法です。割安株は既に株価の下げ余地が小さい状態なので、比較的、「○○ショック」といった株価の 暴落場面でも下げ余地が小さく、耐え得ることが多い銘柄です。



■低位株/値嵩株(ねがさかぶ)

低位株とは株価水準が低い銘柄のこと、値嵩株とは株価が高い銘柄のこと。


ひと昔前の値嵩株は大枚をはたいて買う銘柄でした。

今は株式分割や単元の見直しもあり、手が届きやすい株になりました。


単純に、株価水準が低い銘柄のことを低位株、高い銘柄を文字通り値がかさむ株という意味で値嵩株といいます。株価水準が中くらいの水準の株式は「中位株」となります。

株価の水準に応じて低位株や値嵩株と呼びますが、いくら以下が低位株で、いくら以上が値嵩株という明確な定義はありません。一般的な概念として、1単元が1000株単位の銘柄で、500円以下ぐらいの株価を低位株と呼ぶことが多いようです。

近年では、証券取引所が上場会社に対して単元株を100株に統一す るよう働きかけています。従来1,000株単位だった銘柄が100株単位になると、それまで低位株とされていた銘柄の株価水準が1ケタ上がり ます。反対に1株単位だった銘柄が1単元100株になると株価が2ケタ 下がります。いずれ低位株、値嵩株の概念がなくなるかもしれません。



■優先株

種類株の1つで、普通株に比べて何かが優先する株式のこと。

日本では配当金を優先的に受け取れる優先株がほとんど。


一般の個人投資家でも、優先株を買うことは可能です。

ただしほとんど流通していないので、手に入れるのも換金するのも困難です。


証券取引所などで通常売買されるほとんどの株式は「普通株」です。 普通株に比べ何かの株主の権利が優先的に得られる株式が優先株です。優先株には、配当金が普通株より多いとか、会社が解散したときに残った財産を優先的に受け取れる権利を持つ、などがあります。その代わり何かを犠牲にするのが通常で、例えば配当金を優先する場合は、 経営への参加権(議決権) が制限されるケースが一般的です。

リストラ資金を集めたい状態の会社は、配当金支払いというコスト 面の負担よりも経営に口出しをされないメリットに重きを置く場合があります。さらに、一定期間後に買い戻せる条件を付けておけば、企業業績が良くなり財務体質が回復したら、その優先株を買い戻すこともできます。しかし、業績が悪化して約束通りの配当ができないと、普通株に転換される可能性もあります。



■仕手株

投機を目的として、ある特定の集団によって特に集中して大量に売買されるなど、株価操作的な取引が行われる銘柄。


最近はめっきり聞かれなくなった仕手の動き。

これも証券取引の高度化、高速化の効果でしょうか。市場が健全なのは良いことですね。


株式取引で、特定の集団が意図的に株価を操作するような売買を大 量に繰り返すことを「仕手」といいます。その集団を「仕手グループ」や 「仕手筋」と呼び、対象となる銘柄を仕手株といいます。仕手株は、企 業業績や財務内容などに特に理由もないのに買い上げられて株価が本質価値以上につり上がり、その後大量に売られることがよくあります。 このようにマネーゲーム的に扱われますから、銘柄としては、優良株より大量の注文で操作をしやすい小型株で、出来高の少ない銘柄がター ゲットになることが多いようです。

なお、仕手筋による買い上げで出来高が急増し株価が高騰すると、 それについてくる一般の投資家がさらに株価を押し上げる様子は、「提灯がついた」と表現されます。



■浮動株/特定株

株式市場における売買が活発な銘柄を浮動株、特定の大株主が保有したままで、ほとんど売買されない 銘柄を特定株 (固定株)という。


浮動株という名前から、投資家の売買が頻繁で、あっちの株主、こっちの株主へと居場所が移り変わっている様子が目に浮かびます。


市場内の取引の活発さの度合いで株式を分類した用語です。 浮動株は、証券取引所での売買が活発に行われ流通量が多い株式です。それに反して、親会社や創業者、経営者、取引先が保有している株式や、銀行その他の事業会社などとの持ち合い株式は、一度保有した らその株主はなかなか手放さず、安易に売却されないので特定株(固定株)と呼ばれます。

発行済株式数のうち浮動株や特定株の占める割合を「浮動株比率」 や「特定株比率」といいます。浮動株比率の高い銘柄は比較的株価の動 きが安定しており、むしろ値動きが重いくらいです。特定株比率の高い銘柄は流通している株式が少ないため、ちょっとしたニュースなどで株価が大きく変動するという特徴があります。

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