株式の取引方法には、いくつかの種類や特徴があります。
■夜間取引
通常、昼間に開かれている証券取引所で行う株式取引を、夜にできるように証券会社が提供しているサービス。
スマホやモバイルでネット取引が容易になり、わざわざ帰宅後まで待たなくても取引できるようになったので、縮小傾向です。
通常の株式取引は、9時から15時まで(昼休みあり)に行われていますが、これでは昼間働いている人などが取引しにくいため、いくつかの証券会社では夜間に株式売買ができるようなサービス提供を行いました。それが夜間取引(ナイター取引)です。証券取引所の取引時間終了後に株式注文を発注すると、通常は、翌日の予約注文として取り扱われます。しかし夜間取引は夜などの取引時間外にも取引が行われ、取引相手があれば売買が成立するというシステムです。
夜間取引は証券取引所の立会時間外にも証券取引を行いたいというニーズから生まれました。帰宅後に株式取引を行う個人投資家には売買の機会が増えると期待されていました。既存の証券取引所では実現できない投資家ニーズを満たすため誕生しましたが、廃止または休止する証券会社が相次ぎ、現在では1社のみが私設取引システム (PTS:Proprietary Trading System)にて行っています。
■自動売買
逆指値などの条件注文を利用し、あらかじめ立てた投資戦略に基づいて自動的に注文を執行させる売買注文方法。
投資家が自分で判断せずに売買できる取引ではありません。自動売買が通常の取引より簡単に儲けられるというものでもありません。
自動売買は、インターネット証券会社などで利用できる注文方法です。その手法はいくつかあり、証券会社によって利用できる自動売買の方法が異なります。代表的な自動売買は、「逆指値注文」です。逆指値注文とは、「この値段まで下がったら、成行で売ります」などと、相場がある状況になった場合に注文を執行する方法です。売りでも買いでもできますし、指値注文も成行注文も可能です。当初は指値で出していた売注文に対して、売れないまま相場が下がってしまったら成行に変更するといった注文もできます。自動売買には逆指値のほかにも、逆指値と通常の注文の両方を同時に注文できる取引方法(「逆指値付通常注文」、「ツイン指値」、「W指値」など証券会社によって名称が異なる)があります。これらは日中株価をずっと見ていられない人が取引機会を逃さないために有効です。
■東京証券取引所 / 大阪取引所
東京証券取引所は東証、大阪取引所は大証と略される。2013年1月に両取引所が合併し、持株会社「日本取引所グループ」が誕生した。
世界的にも取引所再編が進む中、現物株に強い東証とデリバティブに強い大証が力を合わせてアジアNo.1市場を目指します。
東京証券取引所(東証)も大阪取引所(大証)も、金融商品取引法に基づく金融商品取引所です。どちらも旧法である証券取引法に基づいた、旧証券取引所です。従来の証券取引所は、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、札幌証券取引所、福岡証券取引所で、それぞ れ、東証、大証、名証、札証、福証と呼ばれています。
2012年8月、東証が大証株をTOB(株式公開買付け)により取得し、大証を子会社化しました。東証と大証が合併して2013年1月には持株会社「日本取引所グループ」が誕生しました。まず、2013年7月16日に現物市場(JASDAQを含む)を東証に統合し、2014年3月24日にデリバティブ市場を大阪取引所に統合し、それぞれの取引を集約させました。東証が現物株式の取引を取り扱い、大証はデリバティブ取引に特化し、名称から「証券」が抜け、大阪取引所となっています。
■兜町/北浜
どちらも、証券界や株式市場を指す代名詞。兜町は東京証券 取引所のある場所で、北浜は大阪取引所のある場所。
東京証券取引所の近くには、証券業界の守り神と呼ばれる兜神社や日本橋川の鎧橋など、源平時代の名残となる史跡があります。
兜町も北浜も、市場を指す金融業界の用語で、地名に由来しています。兜町は東京都中央区日本橋兜町で東京証券取引所 (東証)がある街、北浜は大阪府大阪市中央区北浜で大阪取引所(大証)のある街です。これらの街は、証券取引所を中心に証券会社の本店や支店が周辺に立ち並ぶ、いわゆる金融街の体をなしています。
兜町や北浜という言葉は、街そのものを指す場合のほか、株式市場や証券業界を指す場合もあります。例えば、「兜町の話題」という時には、「株式市場で材料視されている話題」のことです。
地名が業界を示す例は証券界に限らず、さまざまな社会・業界で見られます。例えば、永田町と言えば政界、霞が関は官僚の世界を指し、室町が呉服問屋街、秋葉原や大阪の日本橋は電気屋街を指しています。 兜町や北浜もこれらと同様です。
■ウォール街/シティ
ウォール街はアメリカの証券界やニューヨーク株式市場を指し、シティはイギリスの証券界やロンドン株式市場を指す。
ニューヨークの金融街が舞台になった、出世を夢見る証券マンと欲深い投資家を描いたアメリカ映画『ウォール街』がありましたね。
日本の証券業界や株式市場を兜町や北浜と呼ぶように、海外の証券取引所の所在地もその国の証券業界や株式市場の代名詞です。
ウォール街は、アメリカのニューヨーク市マンハッタン島の南端にあります。ニューヨーク証券取引所と証券会社や金融会社が集中し、金融の中心地となっています。アメリカの証券業界や金融業界全体を意味する場合もあります。
イギリスのロンドン証券取引所は、ロンドン市の東部、シティ・オブ・ ロンドンにあります。シティもイギリスの証券会社や銀行、保険会社などが密集する金融業界の中心地で、金融業界および証券界や証券市場を指すこともあります。
■大発会/大納会
大発会は、1年の初めの取引日、およびその日の取引のこと。大納会は、その年の最後の営業日、およびその日の取引のこと。
証券取引所では、大発会や大納会に有名人をゲストに招いたイベ ントを開きます。申込抽選で一般の投資家も参加できます。
大発会は、新年の初めての取引日やその日の取引のことです。といっても、株式の売買そのものは通常と変わりません。お正月の3が日は営業日ではなく、土日にあたらなければ通常は1月4日が大発会です。
大発会は、年頭にその年の活況を祈るためのお祝い行事としての意味を持ち、縁起を担ぐなどして心理的には特別な日です。この日は、証券取引所の職員や証券会社の社員が晴れ着姿で業務を行う姿や、手締めを行うなどの光景が見られます。
大納会は、その年の取引の最終日やその日の取引のことです。通常は12月30日で、手締めをもってその年の取引が終了します。
「お祝いごと」を理由に買注文が入り、株価が上昇することをご祝儀相場と言います。大発会や大納会はご祝儀相場となることもありましたが、近年ではその傾向も薄らいでいるようです。
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