第2章-2-② 株式・証券は、どのように売買されるのか?

株式や証券の売買をするにあたり、知っておきたい用語を解説します。


■約定

株式の注文を証券取引所に出し、売買取引が成立すること。


売買注文を出したからと言って、必ずしも約定できるとは限りません。

欲張った指値では取引してくれませんよ。


上場株式の注文は、証券会社を通じて証券取引所に発注します。その段階ではまだ注文を出しただけです。市場で売り、または買いの相手がその取引に応じて初めて売買成立です。売買が成立することを約定するといいます。約定は相手方により、1単元株ごとの場合も複数単 元まとまって約定する場合もあります。売買が成立した株価を「約定値段 (約定価格)」といいます。 仮に、ある株式を500円の指値で、2万株の買注文を出したとします。そのときに500円の売りの指値注文は1万5千株しかなく、それよりも安い売注文も成行注文も出て来なかったとすると、買注文は1万5 千株しか約定しません。買注文を出しているうちの残りの5千株は引き続き買注文を出している状況となります。



■受渡し

売買注文が約定した後に、取引の決済が完了すること。

売買の代金や株券の引渡しが行われるこの決済日を受渡日という。


株式を売ったらすぐに現金が手元に戻ってくると思うのは、大間違い。

4営業日後の受渡日でなければ現金になりません。


株式取引の売買が成立すると、その代金と株券の決済が行われます。 この決済のことを受渡しといいます。現在の日本の株式市場では、約定した日を1日目として4営業日目に受渡しが行われます。

株券の電子化後は、買付けの際、証券会社の保護預りを通じて証券保管振替機構「ほふり」に登録し、実際は買った株券を手元に受け取りません。証券会社の帳簿上で株券がその投資家の頼りになる日が「受渡日」です。株主の権利が確定するのは、この受渡日が基準日です。

売却の際も考え方は同様で、受渡日にならないと売却代金を受け取ることができません。株式は、証券保管振替制度の中で精算が行われます。そのため、投資家自身が株券を提出するために何か特別な手続きをする必要はなく、売却した投資家の証券口座から買付けた投資家 の証券口座に株式が振替えられます。



■権利落ち日

株主が配当金や株式分割、株主総会での議決権など権利が得られる最終約定日の翌日のこと。その権利がないことを指す。


配当や優待欲しさに、決算日直前に急に思い立っても間に合わないことも。

権利が落ちる前に日数を数え、さかのぼって買うこと。


株主が配当金や株主優待を受け取れる権利や、株式分割を受けられる権利、株主総会における議決権などの株主の権利は、ある基準日(ほとんどが決算日)をもって株主名簿の整理をし、その期の権利を確定させます。この基準日を「権利確定日」といい、権利確定日に受渡しが完了すれば株主の権利が取れます。権利確定日に受渡日を迎えるように 逆算した買付けの約定日は「権利付き最終日」といいます。その翌日は権利が取れないため、権利落ち日といいます。

なお、配当金については、権利付最終日の終値から配当金相当額が実質値下がりします。配当の権利落ちを特に「配当落ち」といいます。



■取引報告書

売買注文が約定した後に、証券会社から顧客に郵送または電子交付で約定内容を報告する通知。


特定口座には年間取引報告書が送られますが、一般口座では交付されません。

取引のたびに交付される取引報告書で損益計算をします。


取引報告書は、顧客の取引契約によって郵送または電子交付で送られます。店舗で営業員から手渡されることは絶対にありません。その 理由は、約定した取引内容の間違いの確認と、証券会社側の悪質な犯罪防止の目的でもあります。約定後には、取引報告書の内容に間違い がないかを必ず確認してください。もし、注文したはずの内容と違った約定になっている場合には、すぐに証券会社に連絡をしましょう。

なお、年間取引報告書とは、特定口座を利用している顧客に対して証券会社が発行する、1年間の取引結果を報告する通知です。

取引残高報告書は、証券会社が取引顧客に特定の日時点の預り残高 やその日までの一定期間の取引内容を3ヶ月ごとや6ヶ月ごとなど定 期的にまとめて報告する書類です。

みんなの株・証券用語辞典

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